冷淡な態度を取れる者はあまりなさそうなのに源氏はかえって失望を覚えた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(06 末摘花)」(1914)
春は眠くなる。猫は鼠を捕ることを忘れ、人間は借金のあることを忘れる。
夏目漱石草枕」(1906)
しかし東京ないし大阪のようになるということは、必ずしもこれらの都市が踏んだと同一な発達の道筋によるということではない。
芥川龍之介魔術」(1920)
読者諸君、事件は実に面白くなって来た。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
しらじらと夜が明けていたのである。
太宰治」(1947)
うき身世にやがて消えなば尋ねても草の原をば訪はじとや思ふ
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(08 花宴)」(1914)
今に自分も、あの煙突から煙になって出るのだ。
小泉節子思い出の記」(1908)
私だって昔は浅草の父の屋台で、客あしらいは決して下手ではなかったのだから。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
ゼラール中尉には、不思議なことに友人が一人もできなかったのである。
菊池寛」(1920)
名前なんてどうでもいいじゃないか。忘れたって全然不自由はしない。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
天主閣は、明治の新政府に参与した薩長土肥の足軽輩に理解されるべく、あまりに大いなる芸術の作品であるからである。
芥川龍之介魔術」(1920)
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治女生徒」(1939)
一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと
石川啄木一握の砂」(1910)