源氏は夕顔を失った悲しみから立ち直れずにいた。身分の高くない、可憐で扱いやすい恋人を求めていた折、宮中に仕える大輔の命婦から、亡き常陸宮の姫君の話を聞く。その姫君は父宮を亡くし、荒れた邸で孤独に暮らしながら琴を友としていた。
源氏は命婦に案内され、朧月夜にその邸を訪れて琴の音色に耳を傾ける。庭に隠れて聞いていると、偶然にも頭中将が源氏の後をつけてきており、二人は鉢合わせしてしまう。その後、源氏と頭中将はともに姫君へ文を送るが、一向に返事は来ない。
頭中将は返事のない冷淡さに苛立ちを見せるが、源氏もまた負けず嫌いの気持ちから諦めきれずにいる。命婦に仲介を頼み続ける源氏だったが、姫君は極度に内気で男性との交際に慣れておらず、どう応じてよいか分からずにいるのだった。源氏の一方的な想いは続き、この恋の行方は不透明なまま物語は進んでいく。