一夜のうちに姉の姿は消えて、そこに一本の柳となっていたのです。
小川未明赤い船」(1922)
哀愁失ったものの大きさを実感するとき
そしたら、母ちゃんは、びっこを引いてゆっくり行きましょう
新美南吉」(1943)
慈愛無条件の愛を感じたいとき
私がよそに行っている時、あなたは寂しいの。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(07 紅葉賀)」(1914)
慈愛大切な人を気遣うとき
つまり、あたまが悪いと同時にあたまがよくなくてはならないのである。
寺田寅彦科学者とあたま」(1933)
皮肉矛盾を抱えて悩んでいるとき
春は眠くなる。猫は鼠を捕ることを忘れ、人間は借金のあることを忘れる。
夏目漱石草枕」(1906)
のどか春の陽気に包まれたとき
人の妻にさせては後悔が残るだろうと源氏は思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(24 胡蝶)」(1914)
嫉妬愛する人を他の誰かに渡したくないとき
何という不思議な、何という馬鹿げたことだろう。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
諦念理解不能な状況を受け入れるしかないと悟ったとき
無限なものの知覚は有限なものの知覚よりも先のものとして私のうちにある。
デカルト省察」(1641)
畏怖自分の限界を謙虚に受け入れたいとき
さっき一度紙くずのようになった二人の顔だけは、もう元の通りに治りませんでした。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
諦念取り返しのつかない過ちを犯してしまったとき
それを受けた大理石のような白い美しい手はどこにも見つかりません。
有島武郎小さき者へ」(1918)
哀愁もう二度と会えない大切な人を思うとき
人は一つの葦に過ぎない。その性質において最も弱い葦だ。しかし彼は考える葦だ。
パスカルパスカルの言葉」(1943)
覚悟自分の無力さを感じながらも、何かに立ち向かおうとするとき
三軍も帥を奪うべし、匹夫も志を奪うべからず。
下村湖人現代訳論語」(1949)
決意信念を貫こうとするとき
俺たちに父親があるものか、あればあんな苦労はしていない。
菊池寛藤十郎の恋」(1919)
怒り理不尽な現実に直面して怒りが爆発するとき
女は、自分の運命を決するのに、微笑一つでたくさんなのだ。
太宰治女生徒」(1939)
恐怖自分の影響力の大きさに気づいて怖くなったとき
泥棒がつけたのらしいということが分かった。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
安堵原因不明の災いの理由がわかったとき
私はこんなにまで人から冷淡にされたことはこれまでないのだから、今晩はじめて人生は悲しいものだと教えられた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(03 空蝉)」(1914)
孤独恋に破れたとき
鈴鹿川八十瀬の波に濡れ濡れず伊勢までたれか思ひおこせん
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(10 榊)」(1914)
諦念遠い地へ旅立つときの決意のとき
これは、こっちの方が人気があるわい。
横光利一」(1923)
皮肉みんなが迷っているとき
私は天皇を好きである。大好きである。
太宰治黄金風景」(1939)
慈愛本当に大切なものを見つめ直したとき
坊っちゃん後生だから清が死んだら、坊っちゃんのお寺に埋めてください。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
愛情大切な人との別れのとき