茶の本
岡倉天心1906年)
評論・思想11445,599日本
あらすじ — 「不完全なもの」を愛する日本の美学を、世界に説いた小さな哲学書
明治の美術評論家が英語で著した茶道論。薬用から始まった茶が中国で詩歌の域に達し、日本で審美的宗教である茶道へと発達した経緯を述べ、茶道の本質を「不完全なもの」の崇拝とする。茶道は単なる審美主義ではなく、倫理・宗教と一体となった生活哲学であり、清潔を説く衛生学、簡素さを教える経済学、宇宙との調和を示す精神の幾何学として機能すると論じる。 西洋が日露戦争後の日本を武士道で理解しようとすることを批判し、茶道こそが日本の「生の術」を表していると主張。東西の相互理解の重要性を説き、西洋人が茶を愛飲する事実に東西文化の接点を見出す。茶のヨーロッパ伝来史を辿り、ジョンソンやラムといった西洋の茶愛好者たちの言葉を引用しながら、真の茶人の精神を解説する。 最終章では道教の創世神話を用いて、完全性への憧憬と不完全性の受容という茶道の哲学を象徴的に描写。東洋思想を西洋に紹介する先駆的な英文著作として、文明批評と美学論を融合させた格調高い評論である。
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