源氏の娘である明石の姫君の裳着の式を前に、源氏は六条院で入念な準備を進める。薫香の調合に熱中し、各夫人たちと競い合いながら香を作る。二月の雨の日、兵部卿の宮が訪問し、前斎院から届いた香を囲んで品評会が開かれる。宮は審判役となり、それぞれの香の優劣を判定する。斎院の黒方香、源氏の侍従香、紫の上の梅花香など、どれも趣向を凝らした名香ばかりで甲乙つけがたい。
夜が更けると音楽の宴となり、頭中将らも加わって和琴や笛の合奏を楽しむ。歌を交わしながら酒を酌み交わし、風雅な一夜を過ごす。裳着の式当日、中宮を腰結い役に迎えて姫君の成人式が華やかに執り行われる。源氏は一家の幸福を実感する一方、陰にいる明石の君を哀れに思う。東宮の元服後、姫君の入内準備も本格化し、源氏は手道具や書物の準備に心を砕く。平安朝の雅な世界が、香や音楽、書の美とともに描かれる優美な一帖である。