明治維新直後に発表された啓蒙思想書で、「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の有名な冒頭で始まる。人間は生まれながらにして平等であるが、現実には賢愚や貧富の差が存在する理由を、学問を学ぶか否かの違いにあると説く。
著者は従来の漢学や和学といった実用性に乏しい学問を批判し、実学の重要性を強調する。地理学、物理学、歴史、経済学、修身学など、日常生活に役立つ西洋の学問を学ぶべきだと主張し、そのために翻訳書や外国語の習得も推奨する。
学問の目的は個人の独立自尊にあるとし、自由とわがままの違いを「他人に迷惑をかけるか否か」で明確に区別する。さらに個人の独立は国家の独立とも密接に関わるとして、日本が諸外国と対等な関係を築くためには、国民一人ひとりの知識と品格の向上が不可欠であると論じる。
封建制度が廃止され四民平等の世となった明治新政府下において、民衆が真の自由を獲得するには学問によって理性を磨き、責任ある市民となることが急務であると説く。政治の良し悪しは民衆の知的水準に比例するという民主主義の根本原理を示し、近代日本の思想的基盤を築いた不朽の名著である。