須磨での謫居生活を送る光源氏は、激しい雨風と雷鳴が続く異常気象の中で、極度の心細さを感じていた。嵐は日に日に激しさを増し、ついに雷が源氏の住まいに落ちて廊下が焼失する。生命の危険すら感じる中、源氏は住吉の神や仏に必死に祈りを捧げる。
その夜、夢の中に亡き桐壺帝が現れ、「住吉の神の導きに従い、この浦を去れ」と告げる。翌朝、明石の入道が船で迎えに来る。入道は夢のお告げで十三日に須磨へ向かうよう神から告げられたと語る。源氏は父帝の夢の言葉と入道の話が符合することに神意を感じ、明石への移住を決意する。
神風に導かれるように短時間で明石に到着した源氏は、須磨とは比べものにならない美しい風光と、入道が用意した豪華な邸宅に驚嘆する。山手と海辺に分かれた広大な敷地には風雅な建物が配され、都の大貴族にも劣らない生活環境が整えられていた。入道は源氏の美貌を目の当たりにして感激し、住吉の神への感謝を捧げる。新天地で心の平静を取り戻した源氏は、京の人々への手紙をしたため、特に紫の上への返事では再会への切ない思いを綴る。