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破戒
島崎藤村(1906年)
約482分
192,662字
あらすじ — 隠し続けた出自。その「戒め」を破る日が来る
明治時代、被差別部落出身の青年教師・瀬川丑松。父から「自分の出自を決して明かすな」と戒められて生きてきた。でも、同じ出自を隠さず堂々と生きる思想家・猪子蓮太郎との出会いが、丑松の心を揺さぶる。嘘をつき続ける苦しみと、本当の自分を曝け出す恐怖。日本自然主義文学の最高傑作が突きつける「お前は誰だ」という問い。
この作品のひとふみ
たとい如何なる目を見ようとも、 如何なる人に邂逅おうとも、 決してそれは打ち明けるな。 一旦の憤怒悲哀から、 若しそれを白状するような事があったら、 その時こそお前の一生の 不幸だと思え。
島崎藤村
蓮華寺では下宿を兼ねた。
島崎藤村
隠すということは、 自分で自分を 殺すということだ。
島崎藤村
猪子蓮太郎という人の名は、 丑松にとって 一つの光であった。
島崎藤村
人間は生まれながらにして 自由であり平等であるという。 それならば何故私は このように苦しまねばならぬのか。
島崎藤村
お志保の澄んだ眼を見る度に、 丑松は自分の嘘が 刃のように胸に突き刺さるのを 感じた。
島崎藤村
猪子先生は 壇上で倒れた。 差別と闘い続けた その体は、もう限界であった。
島崎藤村
もう隠すまい。 隠すことに疲れた。 自分は自分であるより 他にないのだ。
島崎藤村
「皆さん、 私は穢多です。」 丑松は教壇の上で 生徒たちの前に跪いた。
島崎藤村
戒めは破られた。 しかし丑松の心は 不思議に晴れやかであった。
島崎藤村
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