破戒
島崎藤村1906年)
小説482192,662社会
あらすじ — 隠し続けた出自。その「戒め」を破る日が来る
被差別部落出身の青年教師・瀬川丑松は、父の遺言により自らの出自を隠し続けている。信州の小学校で教鞭をとる丑松は、同じ被差別部落出身の思想家・猪子蓮太郎を心の師として仰いでいた。しかし、その蓮太郎が差別と偏見に満ちた社会への批判を続ける中、ついに何者かによって暗殺されてしまう。 丑松は恋人・志保との結婚を望みながらも、出自を隠し続ける苦悩に苛まれる。同僚教師からの疑いの目、周囲からの中傷、そして良心の呵責に耐えきれなくなった丑松は、ついに父との「破戒」を決意する。卒業式の日、全校生徒と教職員の前で自らの出自を告白した丑松は、学校を去ることになる。 物語は明治時代の部落差別という重いテーマを扱いながら、一人の青年の内面の葛藤と成長を丹念に描き出している。偽りの平穏を捨て、真実を語ることで得られる解放感と、それに伴う社会的制裁の現実を対比させ、人間の尊厳とは何かを問いかける不朽の名作である。日本自然主義文学の出発点となった記念すべき作品でもある。
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