私の手は空っぽである。何も私は持っていない。
宮本百合子貧しき人々の群」(1916)
この世はこんな不公平なものなのかと思って末摘花は恨めしく苦しく切なく一人で泣いてばかりいた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
お前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね
夏目漱石夢十夜」(1908)
なぜこうまで立派なことばかりのできる女だろうと源氏は思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(19 薄雲)」(1914)
こいつはどうだ、やっぱり世の中はうまくできているねえ。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
私はどんな罪を前生で犯してこうした悲しい目に遭うのだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(13 明石)」(1914)
なぜ女王を宮中へ入れるようなよけいなことを自分は考えついてお心を悩ます結果を作ったのだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(17 絵合)」(1914)
道を歩いて常に見る若い美しい女、出来るならば新しい恋を為たいと痛切に思った。
田山花袋蒲団」(1907)
私はこれが犯罪事件ででもあって呉れれば面白いと思いながらカフェを出た。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
空っぽの記憶の中に、空っぽの私が生きている。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)