近代日本の貧困問題を鋭く描いた社会派小説の傑作である。物語は貧しい小作農甚助の家で展開される。食べ盛りの三人の男の子たちが、わずかな芋を分けて食べる場面から始まる。常に空腹の彼らは一個でも多く食べようと必死で、兄が自分の分を多く取ろうとしたことから激しい喧嘩となる。この様子を偶然目撃した「私」(語り手)は興味を持って近づこうとするが、子供たちは露骨な敵意を示し、石を投げつけて追い払われる。
作者は当時わずか十七歳でありながら、貧困が人間性に与える影響を冷静かつ鋭利な観察眼で描写している。食べ物を巡る兄弟の争いや、中産階級出身の「私」に対する子供たちの本能的な敵意は、階級格差の現実を生々しく浮き彫りにする。単なる同情や慈善では解決できない社会構造の根深い問題を、具体的な人間関係の中で鮮やかに描き出した作品である。宮本百合子の社会問題への鋭敏な感性と文学的才能が早くも開花した、記念すべき処女作となっている。