三月下旬、六条院の春の庭は花盛りとなり、源氏は唐風の船を池に浮かべて盛大な船遊びを催す。中宮への返礼として、女房たちを船に乗せて池を巡らせ、管絃の楽を奏でる華やかな宴となった。翌日は中宮の読経の初日で、紫の上は童女八人に蝶と鳥の装束をさせ、金銀の花瓶に山吹と桜を持たせて仏前に供花させる。この美しい行列は春の風情を極めた優雅なものであった。一方、玉鬘のもとには多くの男性から求婚の手紙が届いている。源氏は兵部卿宮や右大将らの文を読みながら、玉鬘に返事を書くよう勧める。特に兵部卿宮は源氏の弟として最も有力な候補者であった。源氏は右近に、相手によって返事の仕方を変えるよう細やかな指導をする。玉鬘は恥ずかしがりながらも、紫の上らの感化を受けて次第に都の女性らしい洗練された美しさを身につけていく。春の華やかな宴と、玉鬘をめぐる恋の駆け引きが織りなす雅やかな物語である。