六条院の春の御殿の庭は平生にもまして多くの花が咲き、小鳥が来て、春はここにばかり好意を見せていると思われた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(24 胡蝶)」(1914)
身にしみて物を思へと夏の夜の蛍ほのかに青引きてとぶ     (晶子)源氏の現在の地位はきわめて重いが、……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(25 蛍)」(1914)
とにかく時機は過ぎ去った。彼女は既に他人の所有ものだ!
田山花袋蒲団」(1907)
僕は小さい時に絵を描くことが好きでした。
有島武郎一房の葡萄」(1920)
死について 近頃私は死というものをそんなに恐ろしく思わなくなった。
三木清人生論ノート」(1941)
得体の知れない不吉な塊が私の心をいつも押さえつけていた。
梶井基次郎檸檬」(1925)
わりなくもわかれがたしとしら玉の涙をながす琴のいとかな   (晶子)まだ雨風は止まないし、……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(13 明石)」(1914)
私の頭の中には言いようのない疲労と倦怠が、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落としていた。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
わたくしはほとんど活動写真を見に行ったことがない。
永井荷風濹東綺譚」(1937)
小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは、良平の八歳の年だった。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
よだかは、本当にみにくい鳥です。
宮沢賢治よだかの星」(1934)
あるところに、人のよいおばあさんが住んでいました。
小川未明赤い船」(1922)
五十鈴川神のさかひへのがれきぬおもひあがりしひとの身のはて (晶子)斎宮(さいぐう=伊勢神宮に仕える皇女)の伊勢へ……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(10 榊)」(1914)
石炭はもう積み終わってしまった。
森鷗外舞姫」(1890)
第一章一円山応挙が長崎の港を描いたころの南蛮船、……
島崎藤村破戒」(1906)
私はこれから、世間では滅多に見られないだろうと思われる、……
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
年月がどんなにたっても、源氏は死んだ夕顔のことを少しも忘れずにいた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(22 玉鬘)」(1914)