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蜜柑
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蜜柑
芥川龍之介(1919年)
小説
約8分
3,157字
郷愁
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あらすじ — 退屈な列車で見た、蜜柑の色が忘れられない
ある冬の日暮れ、横須賀線の列車で疲労と倦怠に沈む「私」の前に、田舎者の小娘が乗り込んでくる。身なりの汚さと愚鈍さに嫌悪感を抱く私だったが、トンネルを出た踏切で小娘が窓から蜜柑を投げる光景を目にする。それは見送りに来た幼い弟たちへの贈り物だった。奉公先へ向かう姉の愛情に満ちた行為を見た瞬間、私の心に温かな感動が生まれ、人生への絶望的な気持ちが一瞬にして救われる。芥川龍之介の初期の名作。
この作品のひとふみ
私の頭の中には言いようのない疲労と倦怠が、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落としていた。
芥川龍之介
不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう。
芥川龍之介
しかし、私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
芥川龍之介
私はこの時初めて、言いようのない疲労と倦怠とを、そして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅かに忘れることができたのである。
芥川龍之介
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