❝
私はこの時初めて、言いようのない疲労と倦怠とを、そして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅かに忘れることができたのである。
芥川龍之介「蜜柑」(1919)
❝
宮様、宮様、お馬の前にひらひらするのはなんじゃいな
島崎藤村「破戒」(1906)
❝
こうして変わらない愛をかける源氏に真心から信頼している様子に同情がされた。
紫式部(与謝野晶子訳)「源氏物語(23 初音)」(1914)
❝
哲学は常識の単なる延長でもなければ、科学の単なる拡張でもない。
三木清「哲学入門」(1940)
❝
神様があの美貌に見入ってどうかなさらないかと思われるね、気味の悪い。
紫式部(与謝野晶子訳)「源氏物語(07 紅葉賀)」(1914)
❝
「いき」は恋の束縛に超越した自由なる浮気心でなければならぬ。
九鬼周造「「いき」の構造」(1930)
❝
「またおっかさんところへ行ったのか。」とたずねるごとに、私はそしらぬ振りをして、「いえ。表で遊んでいました。」
室生犀星「幼年時代」(1919)
❝
富を得ていながら、欠けた事を思うほど、苦しい事は世間にない。
ゲーテ「ファウスト」(1808)
❝
底のきれいでない水に映る月は曇らないはずはないのだからね
紫式部(与謝野晶子訳)「源氏物語(26 常夏)」(1914)
❝
昔の例を見ても、年が若くて官位の進んだ、そして世の中に卓越した人は長く幸福でいられないものである。
紫式部(与謝野晶子訳)「源氏物語(17 絵合)」(1914)
❝
ところが満州の戦場で大規模な殺戮を始めてからは、文明国と呼ぶようになった。
岡倉天心「茶の本」(1906)
❝
ああ、真の美の人を動かすことはあのとおりさ。
泉鏡花「外科室」(1895)
❝
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治「女生徒」(1939)
❝
嘉十は本当に自分の耳を疑いました。
宮沢賢治「やまなし」(1923)
❝
これならば完全だ、欠点がないという女は少ないものだと私は今やっと気がつきました。
紫式部(与謝野晶子訳)「源氏物語(02 帚木)」(1914)
❝
この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷、……
太宰治「魚服記」(1933)