大正末期のクリスマスイブ、東京の暗黒街で「黒天使」と呼ばれる美しい女性が宝石踊りを披露していた。彼女の腕には黒蜥蜴の刺青が這っている。その夜、殺人を犯した雨宮潤一が彼女に高飛び資金を求める。しかし黒天使は逃亡を否定し、「雨宮潤一を殺してしまう」という謎めいた提案をする。
翌日、潤一は黒天使に連れられて大学構内の廃屋へ向かう。そこで彼女の正体が美貌の女怪盗「黒蜥蜴」であることが判明する。黒蜥蜴は潤一を射殺し、彼になりすまして岩瀬家の令嬢早苗の誘拐を計画する。一方、名探偵明智小五郎は早苗の婚約者緒方から依頼を受け、黒蜥蜴の陰謀に立ち向かう。
黒蜥蜴は早苗を誘拐後、身代金として巨額の宝石を要求する。明智との頭脳戦が展開され、彼女は早苗を孤島の秘密基地へ連れ去る。島では生きた人間を人形に変える恐ろしい実験が行われていた。明智は島に潜入し、黒蜥蜴と最後の対決を繰り広げる。美と悪を併せ持つ女怪盗の運命は、この孤島で決着を迎える。探偵小説の傑作として、美しき悪女の魅力と本格推理の醍醐味を余すところなく描いた作品である。