人生論ノート
三木清1941年)
評論・思想17770,818哲学
あらすじ — 「幸福は人格である」——哲学者が綴った、生きることの本質への23の省察
著者が人生の諸相について深く考察した哲学的エッセイ集。戦時下の日本で発表された本書は、現代人の精神状況を鋭く分析しながら、死・幸福・嘘・怒り・虚栄など人間存在の根本問題を論じている。 「死について」では、年齢を重ね親しい人々の死を経験することで、死への恐怖が薄らいでいく心境を率直に述べる。死を平和なものとして受け入れる東洋的知恵と、死を恐怖として捉える西洋的思想を対比し、真の生のリアリズムは死の平和を感じることから始まると説く。また、執着するものがあるからこそ人は死ねるのであり、愛するものを持つことが永遠の生を約束するという逆説的な死生観を展開する。 「幸福について」では、現代の倫理学から幸福論が失われたことを厳しく批判する。過去のあらゆる倫理学が幸福を中心問題としてきたにもかかわらず、現代人は幸福について考える気力さえ失っているという。これは真の不幸の証拠であり、良心の義務と幸福の要求を対立させる近代的道徳観を否定し、幸福の要求こそが現代の良心であると主張する。
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