電気会社の技師である二十八歳の河合譲治は、浅草のカフェで給仕をする十五歳の少女奈緒美と出会う。「ナオミ」という西洋風の名前と、女優メリー・ピクフォードに似た容貌に魅力を感じた譲治は、彼女を引き取って教育し、将来妻にしようと考える。
素直で従順なナオミを溺愛する譲治は、彼女を理想の西洋的女性に育て上げようと、ダンスや英語を習わせ、贅沢な暮らしをさせる。しかし成長したナオミは美貌を武器に男性たちと交際するようになり、譲治の制止を聞かなくなる。やがて学生の熊谷や外国人と関係を持つまでに堕落し、譲治の金を使い込んで放蕎な生活を送る。
絶望した譲治は一度ナオミと別れるが、彼女なしでは生きられず結局復縁を懇願する。ナオミは譲治への完全な支配権を条件として要求し、彼はそれを受け入れる。最終的に二人は夫婦となるが、ナオミが主導権を握る倒錯した関係が成立する。自らが創り上げた美しい悪魔に翻弄される男性の狂気を描いた、谷崎文学の代表的な耽美小説である。