痴人の愛
谷崎潤一郎1924年)
小説492196,997恋愛
あらすじ — 美しさに溺れた男の、終わらない愛の迷宮。
電気会社の技師である二十八歳の河合譲治は、浅草のカフェで給仕をする十五歳の少女奈緒美と出会う。「ナオミ」という西洋風の名前と、女優メリー・ピクフォードに似た容貌に魅力を感じた譲治は、彼女を引き取って教育し、将来妻にしようと考える。 素直で従順なナオミを溺愛する譲治は、彼女を理想の西洋的女性に育て上げようと、ダンスや英語を習わせ、贅沢な暮らしをさせる。しかし成長したナオミは美貌を武器に男性たちと交際するようになり、譲治の制止を聞かなくなる。やがて学生の熊谷や外国人と関係を持つまでに堕落し、譲治の金を使い込んで放蕎な生活を送る。 絶望した譲治は一度ナオミと別れるが、彼女なしでは生きられず結局復縁を懇願する。ナオミは譲治への完全な支配権を条件として要求し、彼はそれを受け入れる。最終的に二人は夫婦となるが、ナオミが主導権を握る倒錯した関係が成立する。自らが創り上げた美しい悪魔に翻弄される男性の狂気を描いた、谷崎文学の代表的な耽美小説である。
この作品のひとふみ
そしてナオミが来てくれたら、彼女は女中の役もしてくれ、小鳥の代わりにもなってくれよう。
谷崎潤一郎
「ナオミちゃん、お前の顔はメリー・ピクフォードに似ているね」
谷崎潤一郎
そしてナオミが来てくれたら、彼女は女中の役もしてくれ、小鳥の代わりにもなってくれよう。
谷崎潤一郎
「私は本当に、このおかしくなったような、男の度を越したヒステリーともいうべき発作に悩まされました」
谷崎潤一郎
「もうからかうのはいい加減にしてくれ!何でもお前の言うことは聞く!」
谷崎潤一郎
「あたしの恐ろしいことが分ったか」
谷崎潤一郎
「この女は臭い腋臭だ、とても臭いや!」
谷崎潤一郎
よ、なぜ黙っている! 何とか言ってくれ! 嫌なら己を殺してくれ!
谷崎潤一郎
じゃ、いいことを教えて上げるわ。水道の水を頭からザッと浴びるといいわ
谷崎潤一郎
私自身は、ナオミに惚れているのですから、どう思われても仕方がありません
谷崎潤一郎
ああ、この匂い……これはいつぞや、ダンスの教授のシュレムスカヤ伯爵夫人……
谷崎潤一郎
「さ、これでいいか」と、男のような口調で言いました。
谷崎潤一郎
私の頭は天鵞絨の帳で囲まれた舞台であって、そこに「ナオミ」という一人の女優が登場します。
谷崎潤一郎
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