男一匹なる句は一種爽快なる感想を人に与える。
新渡戸稲造自警録」(1916)
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治女生徒」(1939)
不可解な、下等な、退屈な人生の象徴でなくて何であろう。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
そういうお前であるのなら、私はお前がもっともっと好きになるだろう。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
おれは病気の風船のりみたいに、いつも憔悴した方角で、ふらふらふらふらあるいているのだ。
萩原朔太郎月に吠える」(1917)
汚れつちまった悲しみに今日も小雪の降りかかる
中原中也山羊の歌」(1934)
恋しい藤壺の宮によく似ているからだと気がついた瞬間にも、思慕の涙が熱く頬を伝わった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
文学を専門的にまでやる人で長寿と幸福を二つとも揃って得ている人は少ない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(17 絵合)」(1914)
「いき」は媚態でありながらなお異性に対して一種の反抗を示す強味をもった意識である。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
真上からたたきのめされて、下の漁夫の首が胸の中に、杭(くい)のように入り込んでしまった。
小林多喜二蟹工船」(1929)
幸福を語ることがすでに何か不道徳なことであるかのように感じられるほど今の世の中は不幸に満ちているのではあるまいか。
三木清人生論ノート」(1941)
「生」において、「美」は死滅する。しかし、「芸術」においては、死滅しない。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
夜になると毎晩家うちの前で立っていたんじゃが、敷居が高うて入れなかった
菊池寛父帰る」(1917)
諸君、ご機嫌よう。僕はもう酔っ払ってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
晩に新しい下駄をおろすと狐がつくというよ
新美南吉」(1943)