月に吠える
萩原朔太郎1917年)
詩・短歌・俳句4828,632孤独狂気怪奇・幻想
あらすじ — 心の闇を詩にした狂気と美
近代詩史に輝く記念碑的作品として、日本語の詩的表現に革命をもたらした詩集である。従来の定型詩から脱却し、自由詩の形式で内面の病的な感情や幻想を表現している。詩人の病的な精神状態から生まれる独特の世界観が全編を貫き、地面の底から現れる「さみしい病人の顔」や、青竹、菫、猫といった事物が異様な生命力を帯びて描かれる。 作品は大きく二部構成となっており、前半では懺悔や罪の意識に苛まれる心境が、竹や菊などの植物のイメージとともに歌われる。「地面の底の病気の顔」「天上縊死」などの詩篇では、死への憧憬と罪悪感が幻想的な映像として展開される。後半の「悲しい月夜」以降では、都市の風景や犯罪、酒精中毒者の死など、より現実的でありながらグロテスクな題材が扱われる。「幼年思慕篇」では、性的な衝動と病的な感覚が「くさった蛤」などの海の生物のイメージで表現される。 全体を通じて、言葉の音韻的効果と視覚的イメージが巧みに組み合わされ、読者の感覚に直接訴えかける独特の詩法が確立されている。近代人の孤独と不安を、これほど鮮烈に表現した詩集は他に類を見ない。
この作品のひとふみ
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