信州の高原で、文学を志す青年と画家を志す節子が恋に落ちる。しかし節子の父親の反対で二人は引き離される。その後、青年と節子は結婚し、節子の療養のために山のサナトリウムへと向かう。美しい自然に囲まれた療養所で、二人は束の間の幸福な時を過ごすが、節子の病状は次第に悪化していく。
青年は節子を看病しながら、彼女との日々を大切に刻んでいく。雪景色の中での散歩、ささやかな会話、共に過ごす静寂な時間——それらすべてが二人にとってかけがえのない宝物となる。しかし季節が移ろうとともに、節子の体力は衰えていき、ついに床から起き上がることもできなくなる。
ヴァレリーの詩句「風立ちぬ、いざ生きめやも」を胸に、青年は愛する人の死と向き合いながらも、生きることの意味を見つめ続ける。節子は静かに息を引き取り、青年は深い悲しみの中にも、彼女との愛に満ちた日々への感謝を抱く。生と死、愛と別れを詩的な文体で描いた、日本文学史上屈指の美しい恋愛小説である。