ああ、そのときのお前の顔色の、そしてその唇の色までも、なんと蒼ざめていたことったら!
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、べらぼうめ!
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
男一匹なる句は一種爽快なる感想を人に与える。
新渡戸稲造自警録」(1916)
嘉十は本当に自分の耳を疑いました。
宮沢賢治やまなし」(1923)
無限なものの知覚は有限なものの知覚よりも先のものとして私のうちにある。
デカルト省察」(1641)
君の杖を立ててその倒れた方に往きたまえ。
国木田独歩武蔵野」(1898)
明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだと悟った
夏目漱石夢十夜」(1908)
真の懐疑家はソフィストではなくてソクラテスであった。
三木清人生論ノート」(1941)
水と建築とはこの町に住む人々の常に顧慮すべき密接なる関係に立っているのである。
芥川龍之介魔術」(1920)
私はこの全世界のうちで一番不幸者で、一番ひどい苦しみを負っているもののように感じた。
室生犀星幼年時代」(1919)
しかし、私の心の上には、切ないほどはっきりと、この光景が焼きつけられた。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
新しくせねばならぬと思うところの旧いものは、未練気なく斥けてしまわねばならぬのである。
幸田露伴努力論」(1912)
こんな処にいるけれど、世帯持は上手なのよ。
永井荷風濹東綺譚」(1937)