デカルトが近世哲学の出発点となる根本的問題に挑んだ哲学的名著である。神の存在と精神と物体の区別を、従来の権威や伝統に頼らず、純粋に理性の力によって論証しようとする野心的な試みが展開される。
デカルトはまず、真理に到達するため一切の知識を疑うという「方法的懐疑」を徹底する。感覚的知識、数学的真理、さらには外界の存在まで疑い抜いた末に、疑っている自分の存在だけは疑えないという確実な出発点を発見する。これが有名な「我思う、ゆえに我あり」の原理である。
この確実な基盤から出発し、デカルトは自分の精神の本質が思考することにあることを明らかにし、完全な存在者である神の観念から神の現実的存在を証明する。さらに延長を本質とする物体と思考を本質とする精神の実在的区別を論証し、精神の不死を示そうとする。六つの省察を通じて段階的に論証が積み重ねられていく構成は、幾何学的な厳密さを備えている。
キリスト教的世界観を理性的基礎の上に再建しようとしたこの作品は、近世哲学の根本問題を設定し、後の哲学者たちに決定的な影響を与えた記念碑的著作である。