あなた、自分の部屋の中で、ただ読むと書くばかりです。
小泉節子思い出の記」(1908)
おれは今、やつらの悪霊に招きよせられて、黄泉の国の闇をさまよっているのではないかしら。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
美は常に、無限に変わりつつあるといえる。
中井正一美学入門」(1941)
男は化粧した女のような白い顔をしているものではないのに、若い玉鬘の心はそれを軽蔑した。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(29 行幸)」(1914)
この宮とだけは最も親密な交際ができたのだが、恋愛問題については話されたことがなかった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(24 胡蝶)」(1914)
こんな処にいるけれど、世帯持は上手なのよ。
永井荷風濹東綺譚」(1937)
金が足りぬ。良いわ。金をこしらえい
ゲーテファウスト」(1808)
私を取り巻く人の運命が、大きな輪廻のうちに、そろそろ動いているように思われた。
夏目漱石こころ」(1914)
よごれたる手をみる――ちゃうどこの頃の自分の心に対うがごとし。
石川啄木悲しき玩具」(0)
内供はなまじっか鼻が短くなったのが、かえって恨めしくなった。
芥川龍之介」(1916)
私は買い物かごを抱えて、細かく震えながら一心に一心に待っているのだ。
太宰治待つ」(1942)
このごろはモルヒネを飲んでから写生をやるのが何よりの楽しみとなっている。
正岡子規病床六尺」(1902)
これ、壮二君のおもちゃにあげてください。ぼくは人殺しなんてしませんよ。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
生きているということ。ああ、それは、何というやりきれない息も絶え絶えの大事業だろうか。
太宰治斜陽」(1947)
認識は模写的であると同時に構成的であり、模写と構成との統一である。
三木清哲学入門」(1940)