小泉八雲の妻である小泉節子が、夫との結婚生活を通して見た八雲の人柄と日本での体験を綴った回想録である。明治二十三年に来日した八雲が出雲の松江に赴任し、節子と出会って結婚するまでの経緯から、彼の日本文化への深い愛情と独特な性格が描かれている。
八雲は松江の美しい風景に魅了され、中学教頭の西田との友情を育みながら、日本の古い文化や風習に強い関心を示した。西洋風を嫌い、日本服を愛用し、箸で食事をとるなど、徹底して日本的な生活を好んだ。一方で、極めて感情的で潔癖な性格の持ち主でもあり、気に入らないことには一切妥協しない頑固さを持っていた。
節子との結婚後は北堀の士族屋敷に移り住み、庭の山鳩の声に喜び、蛇にも餌を与えるほど自然を愛した。盆踊りを見るために各地を旅し、出雲大社への参詣では宮司の配慮で特別に踊りを披露してもらうなど、日本の伝統文化への探求心は尽きることがなかった。
節子は夫を「女よりも優しい親切な人」「微塵も悪い心のない人」と評し、その純粋で子供のような無邪気さと、日本文化への真摯な愛情を温かい眼差しで描いている。