ヴィヨンの妻
太宰治1947年)
小説5321,199恋愛
あらすじ — 破滅的な夫を持つ妻が見つけた、意外な生きる道
詩人志望の夫・大治が金を盗んで逃亡した深夜、債権者の料理屋夫婦が妻・佐知のもとを訪れる。二十六歳の佐知は、病弱な息子を抱えながら貧困の中で暮らしていた。料理屋の主人は、大治が長年にわたって金銭トラブルを起こし続け、ついに店の金を持ち逃げしたことを明かす。佐知は夫の代わりに料理屋で働くことを申し出る。 店では酒に溺れた男性客たちの相手をしながら、佐知は持ち前の明るさと包容力で人気を集める。しかし、ある夜、泥酔した客に襲われそうになる。そこへ偶然大治が現れ、客と乱闘になる。佐治は夫を庇うが、夫は再び姿を消してしまう。 料理屋の夫婦は佐知の人柄に心を打たれ、彼女を家族のように扱うようになる。やがて佐知は、悪人と呼ばれる夫も、善人と呼ばれる自分も、本質的には同じ人間であることを悟る。「悪人」という烙印を押された者たちへの深い共感を抱きながら、彼女は息子と共に力強く生きていくことを決意する。戦後の混乱期を背景に、女性の強さと人間の本質を描いた太宰文学の傑作である。
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