魔物が人の家に初めて現れる時には、あんなひっそりした、初々しいみたいな姿をしているものなのでしょうか。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
人間は、二つの魂の誕生を持っているといえよう。
中井正一美学入門」(1941)
音楽にこんなに心を奪われていても、彼は動物なのだろうか。
フランツ・カフカ変身」(0)
ごん、お前だったのか。いつも栗をくれたのは。
新美南吉ごんぎつね」(1932)
真の懐疑家はソフィストではなくてソクラテスであった。
三木清人生論ノート」(1941)
あの白熊のような犬が二匹、扉を突き破って室の中に飛び込んできました。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
そんな醜い容貌を持ちながら、胸の中では、人知れず、世にも激しい情熱を、燃やしていたのでございます。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
何というまばゆさでしょう。私の目を射抜こうとするのは。
森鷗外舞姫」(1890)
日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱えた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。
芥川龍之介桃太郎」(1924)
それを受けた大理石のような白い美しい手はどこにも見つかりません。
有島武郎一房の葡萄」(1920)
どうです? 一つとりませんか? これも職工の肉ですがね。
芥川龍之介河童」(0)
逆上は普通の人間を、普通の人間の程度以上につり上げて、常識のある者に、非常識を与える者である。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
問題は、お前が、何んの為めにかうしているかつていうことだ。
岸田国士紙風船」(1925)
始終私の心を押さえつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか緩んで来た
梶井基次郎檸檬」(1925)
自分が消えてしまわなければならないのだという彼の考えは、おそらく妹の意見よりももっと決定的なものだった。
フランツ・カフカ変身」(0)
もう、どうでもいいという、勇者に似つかわしくない投げやりな根性が、心の隅に巣食った。
太宰治走れメロス」(1940)
西洋料理を、来た人に食べさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家ということなんだ。
宮沢賢治注文の多い料理店」(1924)
けれどもそうした昔の話を読んだりすることがなければ退屈は紛れないだろうね。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(25 蛍)」(1914)
彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
岡本かの子老妓抄」(1938)