九州の田舎から東京の大学に進学するため上京する純朴な青年・三四郎。汽車の中で出会った謎めいた女性との一夜を名古屋で過ごし、「あなたはよっぽど度胸のないお方ですね」と言われて衝撃を受ける。
東京に着いた三四郎は、叔母の家に下宿し、大学生活を始める。そこで運命的な出会いを重ねていく。美しく知的な美禰子、親友となる与次郎、先輩の野々宮、そして恩師の広田先生。特に美禰子に対しては恋心を抱くが、彼女の真意を測りかねて悶々とする日々を送る。
美禰子は三四郎に好意を寄せているように見えながらも、時として冷淡な態度を見せる。彼女をモデルにした絵画「森の女」が話題となり、三四郎は嫉妬に苦しむ。一方で彼女は現実的な判断から、安定した結婚を選ぶべきかを迷っている。
やがて美禰子は野々宮の弟と婚約することになる。失恋の痛手を負った三四郎だが、それは大都市東京での青春の一页であり、田舎青年から都会人への成長の通過点でもあった。漱石が描く青春小説の傑作として、恋愛の機微と明治時代の青年の心境を繊細に描いている。