江戸時代、刺青師清吉は美女の肌に魂を刻み込むことを夢見ていた。ある日、料理屋で見かけた美しい素足に運命を感じ、五年後、その足の主である十六歳の娘と再会する。清吉は娘に残酷な美女を描いた絵を見せ、彼女の内に潜む魔性を暴き出す。麻酔で眠らせた娘の背中に、一昼夜かけて巨大な女郎蜘蛛の刺青を彫り上げる清吉。目覚めた娘は別人のように変貌し、男を支配する妖艶な美女となっていた。「お前さんは真っ先に私の肥料になったんだねえ」という娘の言葉に、清吉は自らが創り出した魔性の女に魅入られてしまう。美への執着と官能的な痛みが交錯する、谷崎文学の原点ともいえる耽美的な傑作。