助けられたが不思議なくらい、嬢様別してのお情けだわ
泉鏡花高野聖」(1900)
一軒の山家の前へ来たのには、さまで難儀は感じなかった。
泉鏡花高野聖」(1900)
しかし、下人は雨がやんでも、特別どうしようという当てはない。
芥川龍之介羅生門」(1915)
皆源氏の君と恋する心がもたらした罪だ、その人への愛を今自分は根底から捨てなければならない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)
春は眠くなる。猫は鼠を捕ることを忘れ、人間は借金のあることを忘れる。
夏目漱石草枕」(1906)
この世はこんな不公平なものなのかと思って末摘花は恨めしく苦しく切なく一人で泣いてばかりいた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
自分の意志を中尉の意志の奴隷にするのと、あまり変わらないこと
菊池寛」(1920)
このような話を聞き、このような場所を見てきた後、これを人に語りたがらない者が果たしているだろうか。
柳田国男遠野物語」(1910)
問題は、お前が、何んの為めにかうしているかつていうことだ。
岸田国士紙風船」(1925)
私は、椅子の中へ入ると同時に、丁度、隠れ蓑でも着た様に、この人間世界から、消滅してしまう訳ですから。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
真上からたたきのめされて、下の漁夫の首が胸の中に、杭(くい)のように入り込んでしまった。
小林多喜二蟹工船」(1929)
われわれが死ぬまでにはこの世の中を少しなりとも善くして死にたいではありませんか
内村鑑三後世への最大遺物」(1897)
本当に人間はいいものかしら。本当に人間はいいものかしら
新美南吉でんでんむしのかなしみ」(1935)
若い二人の恋が愈いよいよ人目に余るようになったのはこの頃であった。
田山花袋蒲団」(1907)