平安時代の荒廃した京都を舞台に、主人に暇を出された下人が雨宿りのため羅生門に身を寄せる。この門は災害続きで荒れ果て、死体捨て場となっていた。明日をも知れぬ窮状に追い詰められた下人は、盗人になるか餓死するかの選択に迷いながらも、まだ決断できずにいる。雨をしのごうと門の楼上へ上がると、死体から髪の毛を抜く老婆を発見する。当初は悪への憎悪に燃える下人だったが、老婆が「生きるためには仕方がない」と語るのを聞くうち、ついに自らも生存のためなら手段を選ばない決意を固める。そして老婆の着物を剥ぎ取り、夜の闇へと消えていく。人間の道徳観が極限状況でいかに変容するかを鋭く描いた、芥川龍之介の代表的短編である。