昔が思い出されて、恋しいことが胸をいっぱいにして、帰って行く気になれない。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(29 行幸)」(1914)
俺に父親てておやがあるとしたら、それは俺の敵かたきじゃ。
菊池寛父帰る」(1917)
このままの姿では、とても何千里となく遠い国へ帰ることはできません。
小川未明赤い船」(1922)
文明の事を行う者は私人の人民であり、その文明を護る者は政府だ
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
私の手は空っぽである。何も私は持っていない。
宮本百合子貧しき人々の群」(1916)
私、豊太郎、お前はここまで俺をだましたのか。
森鷗外舞姫」(1890)
人は、完全なたのもしさに接すると、まず、だらしなくげらげら笑うものらしい。
太宰治富嶽百景」(1939)
虫が知らすとでも言うのか、何だかこう、傍見をしているすきに何か起きそうで、どうも外へ目を向けられなかった
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
人間が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ。
坂口安吾堕落論」(1947)
ああ、真の美の人を動かすことはあのとおりさ。
泉鏡花外科室」(1895)
あの口笛も、ひょっとしたら、父の仕業ではなかったろうか
太宰治葉桜と魔笛」(1939)
よく費やされた日が、幸福な眠りをもたらすように、よく用いられた生は、幸福な死を将来する。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
悪魔のささやきというのは、たぶんああしたことを指すのではありますまいか。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)