明治34年に発表された歌集で、恋愛感情を大胆に歌った短歌集として文学史上画期的な作品である。当時22歳の晶子が、まだ結婚前の与謝野鉄幹への激しい恋心を率直に表現している。
「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」「その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな」など、官能的で情熱的な歌が収められ、当時の社会に大きな衝撃を与えた。従来の和歌の枠を超え、女性の内面の欲望や官能を包み隠さず歌い上げている。
髪を乱した女性の姿を通して、既成道徳に縛られない自由な愛の表現を追求し、古典的な美意識と近代的な個人主義を融合させた独特の美の世界を構築している。色彩豊かな語彙と音韻の美しさにより、恋する女性の心情を艶やかに描写している。明治期の女性解放思想とも呼応し、近代日本文学における女性の自我の覚醒を象徴する記念碑的作品として評価されている。