虎も狼も泣かずにはいられないだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(12 須磨)」(1914)
哀愁美しいものが失われていくとき
麻酔薬はうわ言を言うと申すから、それが怖くてなりません。
泉鏡花外科室」(1895)
恐怖秘密を抱えて生きているとき
「いき」は恋の束縛に超越した自由なる浮気心でなければならぬ。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
自由恋愛に縛られすぎていると感じるとき
愚か者と見える。名はわしがつけてやる。姉は病気を垣衣、弟は忘れ草を萱草だ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
怒り人間の尊厳を完全に奪われたとき
ああああ、もう少しの間だ
夏目漱石三四郎」(1908)
絶望夜の孟宗竹藪で
この世はこんな不公平なものなのかと思って末摘花は恨めしく苦しく切なく一人で泣いてばかりいた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(15 蓬生)」(1914)
絶望世の中の理不尽に打ちのめされているとき
私は、勝ったと思っています。
太宰治斜陽」(1947)
誇り困難を乗り越えたとき
神さまは万人を裁いて、万人を許される
ドストエフスキー罪と罰」(0)
希望最後の救いを求めるとき
無限なものの知覚は有限なものの知覚よりも先のものとして私のうちにある。
デカルト省察」(1641)
畏怖自分の限界を謙虚に受け入れたいとき
では、俺が引き剥ぎをしようと恨むまいな。俺もそうしなければ、餓死する体なのだ。
芥川龍之介羅生門」(1915)
皮肉相手の論理を逆手に取って反撃するとき
悪魔のささやきというのは、たぶんああしたことを指すのではありますまいか。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
恐怖禁断の誘惑に負けそうになるとき
一軒の山家の前へ来たのには、さまで難儀は感じなかった。
泉鏡花高野聖」(1900)
安堵恐怖から解放されたとき
春は眠くなる。猫は鼠を捕ることを忘れ、人間は借金のあることを忘れる。
夏目漱石草枕」(1906)
のどか春の陽気に包まれたとき
逆上は普通の人間を、普通の人間の程度以上につり上げて、常識のある者に、非常識を与える者である。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
驚愕怒りで我を失ったとき
壮二君は今、拙宅の冷たい地下室に閉じこめられて、暗闇の中でシクシク泣いております。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
恐怖大切な人が危険にさらされているとき
時は本当の審判者でないか
菊池寛」(1920)
狂気死の淵でも譲れない想いがある時
人間は永遠に堕ち抜くことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄のようではありえない。
坂口安吾堕落論」(1947)
希望自分の弱さを責めすぎて立ち直れなくなったとき
見渡せば花ももみじもなかりけり浦のとまやの秋の夕暮れ
岡倉天心茶の本」(1906)
静寂華やかな装飾に疲れて、素朴な美を求めたいとき
私はこんなにまで人から冷淡にされたことはこれまでないのだから、今晩はじめて人生は悲しいものだと教えられた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(03 空蝉)」(1914)
孤独恋に破れたとき
人間は、二つの魂の誕生を持っているといえよう。
中井正一美学入門」(1941)
覚悟人生の真実に直面するとき