どうせしまいはこんな馬鹿気た事になる。
ゲーテファウスト」(1808)
諦観,皮肉死の運命を受け入れるとき
私という男は、何という気違いでありましょう。それ程の苦しみを忍んでも、不思議な感触の世界を見捨てる気になれなかったのでございます。
江戸川乱歩人間椅子」(1925)
自己嫌悪, 狂気, 執着理性と欲望の間で葛藤し、自分の異常性に気づいたとき
小人が過ちを犯すと、必ずそれをかざるものである。
下村湖人現代訳論語」(1949)
痛み,自省自分の失敗を隠そうとするとき
もしわれわれが文明国たるためには、血なまぐさい戦争の名誉によらなければならないとするならば、むしろいつまでも野蛮国に甘んじよう。
岡倉天心茶の本」(1906)
痛快「強さ」の意味を考えたいとき
正直だから、どうしていいか分らないんだ。世の中に正直が勝たないで、外に勝つものがあるか、考えてみろ。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
決意、信念、不器用さへの開き直り窮地に陥ったとき、自分の弱さと向き合うとき
落葉の音と自分の足音とのほかには何の音もなく、 非常な静かさが四辺を領していた。
国木田独歩武蔵野」(1898)
静寂一人で静かな場所を歩いているとき
ああ、ああ、天子様もとうとうおかくれになる。己(おれ)も……
夏目漱石こころ」(1914)
悲しみ, 恐怖, 覚悟明治天皇の崩御を知り、自分の死の近さを感じたとき
個性というのは一回的なもの、繰返さないもののことではないであろうか。
三木清人生論ノート」(1941)
思索,疑問自分の存在の唯一性について考えているとき
それから、池の岸で、どんなことがおこったかは、しばらく読者諸君のご想像にまかせます。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
好奇心、謎めいた不安何か重大な出来事が起きたことを知りたいとき
善く費された日が、幸福な眠を齎すやうに、善く用ひられた生は、幸福な死を將來する。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
人生の充実一日一日を大切に生きたいとき
苦しんだり、怒ったり、騒いだり、泣いたりは人の世につきものだ。余も三十年の間それを仕通して、飽々した。
夏目漱石草枕」(1906)
疲弊、諦観、決別人生に疲れ果てたとき、同じ苦しみの繰り返しから逃げたいとき
参謀本部編纂の地図をまた繰開いて見るでもなかろう、と思ったけれども、余りの道の険しさに、つい手が出た。
泉鏡花高野聖」(1900)
不安未知の道に踏み出す不安を感じたとき
兵十は火縄銃(ひなわじゅう)をばたりと、とり落しました。青い煙が、まだ筒口から細く出ていました。
新美南吉ごんぎつね」(1932)
衝撃、絶望取り返しのつかないことが起きた瞬間
春の日の夕暮は静かです
中原中也山羊の歌」(1934)
静寂,平和静かな夕暮れ時に、心が落ち着いているとき
豆腐屋が豆腐を売ってあるくのは、けっして国家のために売って歩くのではない。
夏目漱石私の個人主義」(1914)
冷静,諦観大げさな理想論に疑問を感じたとき
謂わばおそろしい魔の淵(ふち)にするすると吸い寄せられるように
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
恐怖人生の決断を迫られるとき
杜子春は又元の大金持になりました。するとどうでしょう。今まで眉をひそめていた、洛陽の都の人達は、急にいそいそと御世辞を云い始めました。
芥川龍之介杜子春」(1920)
皮肉、失望人間の本性を見せつけられて幻滅するとき
観念らしい観念は死の立場から生れる、現実或いは生に対立して思想といわれるような思想はその立場から出てくるのである
三木清人生論ノート」(1941)
畏敬死について考えずにはいられないとき
戒めは破られた。 しかし丑松の心は 不思議に晴れやかであった。
島崎藤村破戒」(1906)
解放重荷を下ろした瞬間
「野暮は揉まれて粋となる」というのはこの謂にほかならない。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
納得,共感人生の苦労を重ねたとき