侍はそれを舟のへりに乗せ、刀でぱちんと二つに割りました。
新美南吉飴だま」(1943)
驚き予想外の優しさに出会ったとき
あの蠟燭が尽きないうちに私が眠るか、またはコップ一杯の酔いが覚めてしまうか、どちらかでないと、キクちゃんが、あぶない。
太宰治」(1947)
恐怖理性と欲望の間で葛藤しているとき
笑ってくれ。詩人になりそこなって虎になった哀れな男を。
中島敦山月記」(1942)
自嘲自分の失敗や挫折を受け入れなければならないとき
人は一つの葦に過ぎない。その性質において最も弱い葦だ。しかし彼は考える葦だ。
パスカルパスカルの言葉」(1943)
覚悟自分の無力さを感じながらも、何かに立ち向かおうとするとき
この絵にはお前の心が映っているぞ
谷崎潤一郎刺青」(1910)
畏怖自分の隠された本性を指摘されたとき
われらは新たな美を創る 美学は絶えず移動する
宮沢賢治農民芸術概論綱要」(1926)
好奇心既存の価値観に疑問を感じ始めたとき
「この女は臭い腋臭だ、とても臭いや!」
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
嫌悪幻滅を感じるとき
しかし東京ないし大阪のようになるということは、必ずしもこれらの都市が踏んだと同一な発達の道筋によるということではない。
芥川龍之介魔術」(1920)
希望地方都市の発展可能性について考えるとき
虎も狼も泣かずにはいられないだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(12 須磨)」(1914)
哀愁美しいものが失われていくとき
「ポチは死んだよ」と言った。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
悲しみ大切な仲間を失ったとき
ただ私に知られていることについてのみ、私は判断を下し得る。
デカルト省察」(1641)
挑戦究極的な疑いに直面したとき
人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
諦念道徳的な評価を超えて生きることを選ぶとき
帰るとこ、よう忘れんかったこっちゃな
織田作之助夫婦善哉」(1940)
皮肉裏切られた怒りを表現するとき
この世界に、論理の通らない世界のあること。
中井正一美学入門」(1941)
怒り理不尽な現実に直面したとき
日本一の桃太郎は犬猿雉の三匹の忠義者を召し抱えた故、鬼が島へ征伐に来たのだ。
芥川龍之介桃太郎」(1924)
困惑理不尽な理屈に直面したとき
言葉を世間の読者に寄せる。君たちもたいてい蟹なんですよ。
芥川龍之介猿蟹合戦」(1923)
諦念自分の立場を客観視したいとき
幾年も経たずして、そのふもとの町は滅びて、なくなってしまいました。
小川未明赤い蝋燭と人魚」(1921)
無常因果応報を目の当たりにしたとき
安寿恋しや、ほうやれほ。厨子王恋しや、ほうやれほ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
哀愁失ったものへの想いが溢れ出るとき
胸が痛むほどほしくなってしまったのです。
有島武郎一房の葡萄」(1920)
切なさどうしても手に入らないものに憧れるとき
理想どおりにこの世はならないものだ。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)
諦観複数の愛に翻弄されて人生の理不尽さを感じたとき