役人どもは皆いちの顔を見た。そしてそこに現われている、人の力では動かすことの出来ぬ「諦めの色」を見た。
森鷗外最後の一句」(1915)
畏怖、緊張相手の覚悟の深さに圧倒されるとき
二人は何度も商売に手を出しては 失敗した。しかし二人でいる限り、 不思議と世の中が 終わった気はしなかった。
織田作之助夫婦善哉」(1940)
安心何度失敗しても隣にいてくれる人がいるとき
好奇心は虚榮に過ぎない。私達は何かの話が出來るといふだけのことで、ある一つの事を知らうと思ふことが、よく有る。
パスカルパスカルの言葉」(1943)
自省SNSで「知ったかぶり」をしてしまったとき
そのまた向うには夕焼けの空の下に、 ぼんやり薄紫に横たわっている海さえ見えた。
芥川龍之介トロッコ」(1922)
切なさ美しい景色が逆に寂しく感じるとき
頭のいい人は見通しがきくだけに、あらゆる道筋の前途の難関が見渡される。そのためにややもすると前進する勇気を阻喪しやすい
寺田寅彦科学者とあたま」(1933)
気づき考えすぎて動けなくなったとき
人と人との交際に趣味のあるのとないのとは、金銭や物件で差引勘定の出来ぬ大きな差がある。
新渡戸稲造自警録」(1916)
共感,驚き人付き合いの質について考えるとき
唯其の独立を全するが為めに」
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
信念,決意人生の目標を明確に定めたとき
ああ、暑、暑! どうだった、譲治さん、あたしの踊るのを見ていた?
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
喜び自分の成功を確認したいとき
この手紙があなたの手に落ちる頃には、私はもうこの世にはいないでしょう。とくに死んでいるでしょう。
夏目漱石こころ」(1914)
悲しみ, 孤独, 静寂人生の終わりに直面するとき
伯牛、わしは強いてお前の顔を見ようとはいわぬ。せめて声だけでも聞きたいと思って、久々でやって来たのじゃ。
下村湖人論語物語」(1938)
温かさ辛いとき、誰かにそっと寄り添ってほしいとき
猪子蓮太郎という人の名は、 丑松にとって 一つの光であった。
島崎藤村破戒」(1906)
希望自分と同じ境遇の人に出会ったとき
如何に英仏その他の国々に金満家が多いとて、他国の地面を買て城を築くような馬鹿気た商人はありますまい
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
困惑,文化衝突西欧人の領土意識の違いに触れたとき
参謀本部編纂の地図をまた繰開いて見るでもなかろう、と思ったけれども、余りの道の険しさに、つい手が出た。
泉鏡花高野聖」(1900)
不安未知の道に踏み出す不安を感じたとき
クラムボンは死んだよ。
宮沢賢治やまなし」(1923)
恐怖、悲しみ無邪気な世界に突然死が侵入してくるとき
学問するには、その志を高遠にせざるべからず。飯を炊き、風呂の火を焚くも学問なり。天下の事を論ずるもまた学問なり。されども一家の世帯は易くして、天下の経済は難し。
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
決意学問の道を志すとき、自分の人生の目標について考えるとき
憐れな私は親孝行のできない境遇にいた。
夏目漱石こころ」(1914)
孤独, 切なさ, 悲しみ努力しても報われない時に, 葛藤の中で身動きが取れない時に
もし神を畏れず、また来世を期待しないならば、利よりも正を好む者は少数であるでありましょう。
デカルト省察」(1641)
皮肉,現実認識道徳の根拠について考えるとき
虫が知らすとでも云うのか、何だかこう、傍見をしているすきに何事か起り相で、どうも外へ目を向けられなかったのだ。
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
不安、直感、緊張何かが起ころうとしていることを無意識に感じているとき
学識あり、才能あるものが、いつまでか一少女の情にかゝづらひて、目的なき生活(なりはひ)をなすべき。
森鷗外舞姫」(1890)
葛藤, 決意友人の忠告を受けたとき
すべての学は真理に対する愛に発し、真理に基く勇気を喚び起すものでなければならない。
三木清哲学入門」(1940)
情熱,勇気学問の意味を問い直すとき