人間は、二つの魂の誕生を持っているといえよう。
中井正一美学入門」(1941)
自分で自分の馬鹿を承知しているほど尊く見えることはない。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
犀でもなく虎でもなく、あの荒れ野をさまよっている。
下村湖人論語物語」(1938)
天主閣は、明治の新政府に参与した薩長土肥の足軽輩に理解されるべく、あまりに大いなる芸術の作品であるからである。
芥川龍之介魔術」(1920)
僕は甘んじて女王さまの奴隷になります。どんないやしい仕事でもします。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
借金を返しちまったら。あなた、おかみさんにしてくれない。
永井荷風濹東綺譚」(1937)
しかも季節に縁のないレインコートをひつかけていた。
芥川龍之介歯車」(1927)
竜華寺の藤本は生煮えの餅のように真があつて気に成る奴
樋口一葉たけくらべ」(1895)
これでよしと。でも、うまくいくかしら。万一、賊がこいつに足くびをはさまれて、動けなくなったら、さぞ楽しいだろうなあ。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
水と建築とはこの町に住む人々の常に顧慮すべき密接なる関係に立っているのである。
芥川龍之介魔術」(1920)
音楽にこんなに心を奪われていても、彼は動物なのだろうか。
フランツ・カフカ変身」(0)
そうとは言っても露骨に反感を見せたり、軽蔑的な態度をとったりすることのないのを源氏はうれしく思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)