命があればこそこんなことを見聞きするのだ、前に死んだ同志の友人が気の毒だ
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
私は「大きくなったら……」と深い決心をしていた。「もっと大きくなったら……」
室生犀星幼年時代」(1919)
おれは今、やつらの悪霊に招きよせられて、黄泉の国の闇をさまよっているのではないかしら。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、べらぼうめ!
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
二十一年の大誓願、端なくも今宵成就いたした
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)
自然はやはり、その恋人にのみ真心を打ち明けるものである。
寺田寅彦科学者とあたま」(1933)
私は黙って俯向うつむいていた。何を言っても駄目だ。何も言うまいと心で誓った。
室生犀星幼年時代」(1919)
人の心を疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。
太宰治走れメロス」(1940)
私はしらずしらず教壇の方へ行って、ボールドに姉さんという字をかいていた。
室生犀星幼年時代」(1919)
私はこの時初めて、言いようのない疲労と倦怠とを、そして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅かに忘れることができたのである。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
生きているということ。ああ、それは、何というやりきれない息も絶え絶えの大事業だろうか。
太宰治斜陽」(1947)
一切の理論は灰色だ、生命の黄金の樹は緑だ。
ゲーテファウスト」(1808)
我より福を分ち与うれば、人もまた我に福を分ち与うべく、天道は復すことを好む。
幸田露伴努力論」(1912)
僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?――というのは絶えずまはっている半透明の歯車だった。
芥川龍之介歯車」(1927)
そう考えるとたまらないほど、自分もカムパネルラも哀れなような気がするのでした。
宮沢賢治銀河鉄道の夜」(1934)