俺がある『刹那』に『まあ、待て、お前は実に美しいから』と言ったら、君は俺を縛り上げてくれても良い。
ゲーテファウスト」(1808)
あきれるとともにくやしくてならない心になったが、人違いだとも言えず困った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(03 空蝉)」(1914)
このままの姿では、とても何千里となく遠い国へ帰ることはできません。
小川未明赤い船」(1922)
あなたが生んだという賢一郎は二十年も前に築港で死んでいる。
菊池寛父帰る」(1917)
わしは人の野宿をしそうな森の中や橋の下を尋ね回って、これまで大勢の人を連れて帰った。
森鷗外高瀬舟」(1916)
人間は、二つの魂の誕生を持っているといえよう。
中井正一美学入門」(1941)
ただ漠然と親というものの面影を今日まで心に作って来ているだけだった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(22 玉鬘)」(1914)
私、豊太郎、お前はここまで俺をだましたのか。
森鷗外舞姫」(1890)
窮屈な境遇の源氏はこうした山歩きの経験がなくて、何もかもみな珍しく面白く思われた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
一切の無常なるものは ただ影像たるに過ぎず。
ゲーテファウスト」(1808)
人間が変わったのではない。人間は元来そういうものであり、変わったのは世相の上皮だけのことだ。
坂口安吾堕落論」(1947)
時はわたしが釣りに行く小流れにすぎない
ソロー森の生活」(1854)
なぜこうまで立派なことばかりのできる女だろうと源氏は思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(19 薄雲)」(1914)
希望はあらず、さてはまた、懺悔もあらず。
中原中也山羊の歌」(1934)
えらい駆け落ちをしてしまったという悔いが一瞬あった。
織田作之助夫婦善哉」(1940)