ぼくはもう何か喰べたくて倒れそうなんだ。
宮沢賢治山越え」(1921)
切実さ, 疲労空腹で限界を感じているとき
武蔵野の俤は今纔かに此の大きな林に残っている。
国木田独歩武蔵野」(1898)
哀愁昔の面影がわずかに残る場所を訪れたとき
アア、とうとう耐え切れなくなったと見えて、自首しましたよ。妙な偶然ですね。丁度その事を話していた時に、こんな報導に接しるとは
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
やるせなさ, 人間への深い洞察誰かの苦悩や罪悪感の重さについて考えたいとき
兵十が気がつくと、土間に栗がかためておいてありました。
新美南吉ごんぎつね」(1932)
衝撃、悲しみ見落としていた真実に気づいたとき
海は君を呼んでいた。 そしてカンヴァスもまた 君を呼んでいた。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
葛藤二つのやりたいことの間で迷うとき
南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
勇気, 優しさ, 覚悟誰かを助けたいとき, 恐怖に直面したとき
富士には、月見草がよく似合ふ。
太宰治富嶽百景」(1939)
決意小さなものの中に美しさを見つけたとき
下人の行方は、誰も知らない。
芥川龍之介羅生門」(1915)
虚無答えのない問いに向き合うとき
或春の日暮です。唐の都洛陽(らくよう)の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。
芥川龍之介杜子春」(1920)
孤独、虚無人生に行き詰まって、ぼんやりしてしまうとき
閻魔大王はにやにや笑いながら、何か又ほかの鬼どもに命令をしました。するとその鬼どもに引き立てられて、地獄の罪人が二人、息も絶え絶えに彼の前へやって来ました。――その罪人を一目見た時、杜子春は思わず声を立てそうになりました。なぜと云えばその二人の罪人は、外でもない彼の父と母とだったからです。
芥川龍之介杜子春」(1920)
衝撃、悲しみ最も大切な人が傷つけられるのを目の当たりにするとき
二人は泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました。
宮沢賢治山越え」(1921)
絶望, 悲しみ, 無力感もう何もできないことを悟ったとき
僕の可愛いナオミちゃん、僕はお前を愛しているばかりじゃない、ほんとうを云えばお前を崇拝しているのだよ。お前は僕の宝物だ、僕が自分で見つけ出して研きをかけたダイヤモンドだ。
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
執着、支配欲、歪んだ愛情結婚を決めた直後に、ナオミに対して自らの感情を告白するとき
日は傾きて風吹き酔いて人呼ぶ者の声も淋しく女は笑い児は走れどもなお旅愁をいかんともする能わざりき。
柳田国男遠野物語」(1910)
孤独, 切なさ祭りの賑わいに囲まれながらも、心が満たされないとき
いま、いま、いま、と 指でおさえているうちにも、 いま、は遠くへ飛び去って、 あたらしい「いま」が来ている。
太宰治女生徒」(1939)
孤独時間が過ぎるのが怖いとき
小さき者よ。不幸なそして同時に幸福な汝等の父と母との祝福を胸にしめて人の世の旅に登れ。
有島武郎小さき者へ」(1918)
祝福旅立ちを見送るとき
もう隠すまい。 隠すことに疲れた。 自分は自分であるより 他にないのだ。
島崎藤村破戒」(1906)
覚悟もう嘘をつけないと決めたとき
自分ばかり地獄からぬけ出そうとする、陀多の無慈悲な心が、そうしてその心相当な罰をうけて、元の地獄へ落ちてしまったのが、御釈迦様の御目から見ると、浅間しく思召されたのでございましょう。
芥川龍之介蜘蛛の糸」(1918)
悲しみ、虚無感他者を踏みにじってまで自分だけ救われようとしたとき
彼等は女心の変り易さを知らなかったわけではなく、知りすぎていたので、こういう禁止項目を案出に及んだまでであった。
坂口安吾堕落論」(1947)
怒り、諦観権力者の本音を知りたいとき、支配構造の矛盾に気づいたとき
好奇心は虚榮に過ぎない。私達は何かの話が出來るといふだけのことで、ある一つの事を知らうと思ふことが、よく有る。
パスカルパスカルの言葉」(1943)
自省SNSで「知ったかぶり」をしてしまったとき
私はこんな風(ふう)にして生きて来たのです。始めてあなたに鎌倉(かまくら)で会った時も、あなたといっしょに郊外を散歩した時も、私の気分に大した変りはなかったのです。私の後ろにはいつでも黒い影が括(く)ッ付(つ)いていました。
夏目漱石こころ」(1914)
孤独, 絶望自分の人生が変わらない苦しみを感じたとき、誰かとの関係が表面的に見えるとき