己(おれ)も三五郎だ唯死ぬものか
樋口一葉たけくらべ」(1895)
意地理不尽に痛めつけられたとき
私にもそうらしく思われて来ました。逃げて都へも行かれます。
森鷗外高瀬舟」(1916)
希望絶望の淵から希望の光が見えたとき
ああ、この匂い……これはいつぞや、ダンスの教授のシュレムスカヤ伯爵夫人……
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
陶酔過去の記憶が蘇るとき
いかなる小事にあたっても、なにかことをなすときは、ちょっと退いて考えたい。
新渡戸稲造自警録」(1916)
慎重行動を起こす前の判断のとき
私を取り巻く人の運命が、大きな輪廻のうちに、そろそろ動いているように思われた。
夏目漱石こころ」(1914)
予感運命の変化を感じるとき
われらは新たな美を創る 美学は絶えず移動する
宮沢賢治農民芸術概論綱要」(1926)
好奇心既存の価値観に疑問を感じ始めたとき
人生七十力囲希咄 吾が這の宝剣 祖仏共に殺す
岡倉天心茶の本」(1906)
覚悟人生の最期に自分らしさを貫こうとするとき
「ポチは死んだよ」と言った。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
悲しみ大切な仲間を失ったとき
私は黙って俯向うつむいていた。何を言っても駄目だ。何も言うまいと心で誓った。
室生犀星幼年時代」(1919)
諦念理不尽な扱いに耐えるとき
目に見えているものが、いっとう神秘である。
中井正一美学入門」(1941)
好奇心日常の中に美を発見したいとき
しかも季節に縁のないレインコートをひつかけていた。
芥川龍之介歯車」(1927)
不吉何か悪いことが起きそうな予感がするとき
何のことだろう、殿様の頭でも踏みはしないだろう。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
疑問殿様の名前の書いた紙を踏んで叱られた時
嘉十はもう全く自分と鹿との違いを忘れて、「ホウ、やれ、やれい。」と叫びながらすすきの陰から飛び出しました。
宮沢賢治やまなし」(1923)
歓喜境界線を越えて一体感を感じるとき
わたし雷さまより光るのがいやなの。
永井荷風濹東綺譚」(1937)
怯え雷が鳴っているとき
あの口笛も、ひょっとしたら、父の仕業ではなかったろうか
太宰治葉桜と魔笛」(1939)
疑念過去の奇跡的な出来事の真実を疑い始めたとき
私はどんな罪を前生で犯してこうした悲しい目に遭うのだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(13 明石)」(1914)
無常人生の苦境で自分の運命を問うとき
カムサツカでは死にたくない
小林多喜二蟹工船」(1929)
切なさ故郷から遠く離れた場所で最期を迎えそうなとき
神様があの美貌に見入ってどうかなさらないかと思われるね、気味の悪い。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(07 紅葉賀)」(1914)
嫉妬人の美しさに嫉妬してしまうとき
笑ってくれ。詩人になりそこなって虎になった哀れな男を。
中島敦山月記」(1942)
自嘲自分の失敗や挫折を受け入れなければならないとき
本当に人間はいいものかしら。本当に人間はいいものかしら
新美南吉でんでんむしのかなしみ」(1935)
困惑固定観念が揺らいだとき