桜の森の満開の下
坂口安吾1947年)
小説4216,825怪奇・幻想
あらすじ — 桜の下には鬼が棲む――美と狂気の幻想譚
美しすぎる女に魅せられた山賊が、彼女の要求に従って次々と残酷な行為に手を染める幻想的な物語。鈴鹿峠の桜の森に住む山賊は、満開の桜の下では人が狂気に陥ることを知りながらも、その恐怖の正体を理解できずにいた。ある日、街道で出会った絶世の美女に心を奪われ、その夫を殺して女を連れ帰る。女は山賊に、これまでの七人の妻たちを次々と殺すよう命じ、山賊は逆らえずに従ってしまう。女の美しさと我儘に翻弄されながらも、山賊は彼女への愛に溺れていく。しかし女の正体は人間ではなく、桜の精であった。やがて桜の季節が訪れ、女は桜の森で本来の姿を現す。美に魅せられた者の破滅と、日本古来の桜に対する畏怖の念を、幻想的で妖艶な筆致で描いた戦後文学の傑作。美の魔性と人間の業の深さを、古典的な鬼女説話の形を借りて現代に甦らせた、坂口安吾の代表作の一つである。
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