私は夫を半分は激しく嫌い、半分は激しく愛している。
谷崎潤一郎」(1956)
あきれるとともにくやしくてならない心になったが、人違いだとも言えず困った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(03 空蝉)」(1914)
人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣に当たるのが、各人の性情だという。
中島敦山月記」(1942)
しかし、下人は雨がやんでも、特別どうしようという当てはない。
芥川龍之介羅生門」(1915)
何でも人間の行くべき所は江戸に限る。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
ひょっとしたら、私は大変みだらな女なのかもしれない。
太宰治待つ」(1942)
足あり、仁王の足の如し。足あり、他人の足の如し。
正岡子規病床六尺」(1902)
しかし東京ないし大阪のようになるということは、必ずしもこれらの都市が踏んだと同一な発達の道筋によるということではない。
芥川龍之介魔術」(1920)
曖昧な立場にいて自身は苦労をし、人からは嫉妬をされなければならない自分であるらしいと玉鬘は嘆かれるのだった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(30 藤袴)」(1914)
人間の住居というよりも、むしろ何かの巣といった方が、よほど適当している。
宮本百合子貧しき人々の群」(1916)
自分の意志を中尉の意志の奴隷にするのと、あまり変わらないこと
菊池寛」(1920)
私は依然として未知の世界にいる未知の私であった。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
写生という事は、画を画くにも、記事文を書く上にも極めて必要なもので、この手段によらなくては画も記事文も全く出来ない。
正岡子規病床六尺」(1902)
人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。
坂口安吾堕落論」(1947)
ああ、そのときのお前の顔色の、そしてその唇の色までも、なんと蒼ざめていたことったら!
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
誰か僕の眠っているうちにそっと絞め殺してくれるものはないか?
芥川龍之介歯車」(1927)