ああ、そのときのお前の顔色の、そしてその唇の色までも、なんと蒼ざめていたことったら!
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
自分は前世にどんな重い罪障があってこの苦しみに堪えなければならないのだろう。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(22 玉鬘)」(1914)
なかなかに折りやまどはん藤の花たそがれ時のたどたどしくば
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(33 藤のうら葉)」(1914)
俺は世の中を駆けて通った。そしてあらゆる歓楽を、髪を掴んで引き寄せるようにした。
ゲーテファウスト」(1808)
一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、べらぼうめ!
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
窮屈な境遇の源氏はこうした山歩きの経験がなくて、何もかもみな珍しく面白く思われた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
ただそこに、晴々した精進の心があるばかりであった。
菊池寛恩讐の彼方に」(1919)
何でも人間の行くべき所は江戸に限る。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
この山を旅する方は皆、大風のような音をどこかで聞きます。
泉鏡花高野聖」(1900)
私のために門閥制度は親の敵でございる。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
はんの木は本当に砕けた鉄の鏡のように輝き
宮沢賢治やまなし」(1923)
私は買い物かごを抱えて、細かく震えながら一心に一心に待っているのだ。
太宰治待つ」(1942)
あなたが生んだという賢一郎は二十年も前に築港で死んでいる。
菊池寛父帰る」(1917)