こんな人であるから長い年月の間忘れることもなく恋しいのであると思っていた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)
こうして私が数時間前から座っているのに、どうもまだこの部屋は空虚のようだ。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
これは経験が私たちを強いて私たちの基礎に置かせた原理の否定し難い一つの帰結なのです。
アインシュタイン相対性理論」(1916)
注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々耐えて下さい。
宮沢賢治山越え」(1921)
真の貴族は、あんな岩島みたいな下手な気取り方なんか、しやしないよ。
太宰治斜陽」(1947)
ああ、真の美の人を動かすことはあのとおりさ。
泉鏡花外科室」(1895)
どうぞ私は死んでからただに天国に行くばかりでなく、私はここに一つの何かを遺して行きたい
内村鑑三後世への最大遺物」(1897)
あの人は棺に入らないで回転窯の中へ入ってしまいましたわ。
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
万というからには何事でも、口入れをするのが本当です。
芥川龍之介仙人」(1922)
上なら、人がいたにしても、どうせ死人ばかりである。
芥川龍之介羅生門」(1915)
貧にしてへつらわず富んで驕らないというのが、その極致で。
下村湖人論語物語」(1938)
一人前の仕事とは各自がめいめい天賦の才能と力量のあらん限りを尽くすことであろう。
新渡戸稲造自警録」(1916)
この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷、……
太宰治魚服記」(1933)
人は、完全なたのもしさに接すると、まず、だらしなくげらげら笑うものらしい。
太宰治富嶽百景」(1939)