恋しい藤壺の宮によく似ているからだと気がついた瞬間にも、思慕の涙が熱く頬を伝わった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
私、豊太郎、お前はここまで俺をだましたのか。
森鷗外舞姫」(1890)
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
もっと早く死ぬべきだったのになぜ今まで生きていたのだろう
夏目漱石こころ」(1914)
私はしらずしらず教壇の方へ行って、ボールドに姉さんという字をかいていた。
室生犀星幼年時代」(1919)
昔の例を見ても、年が若くて官位の進んだ、そして世の中に卓越した人は長く幸福でいられないものである。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(17 絵合)」(1914)
俺の父親は俺が八歳になるまで家を外に飲み歩いていたのだ。
菊池寛藤十郎の恋」(1919)
地上の運命と、それに対する知恵とに目覚めたのであった。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)
本当に私は、どれが本当の自分だか分からない。
太宰治女生徒」(1939)
生きていればいいたい事はいいたいもので、毎日見るものは新聞雑誌に限っていれど、それさえ読めないで苦しんでいる時も多い。
正岡子規病床六尺」(1902)
愚か者と見える。名はわしがつけてやる。姉は病気を垣衣、弟は忘れ草を萱草だ。
森鷗外高瀬舟」(1916)
人間というものは角の生えない、青白い顔や手足をした、何ともいえず気味の悪いものだよ。
芥川龍之介桃太郎」(1924)
自分が、どのように生きるべきかを学んでいると思っている間に、自分は、どのように死ぬべきかを学んでいたのである。
レオナルド・ダ・ヴインチレオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
我々は人間よりも不幸である。人間は河童ほど進化していない。
芥川龍之介河童」(0)
金が足りぬ。良いわ。金をこしらえい
ゲーテファウスト」(1808)
それよりもむしろ、自分で鼻を気にしているということを、人に知られるのが嫌だったからである。
芥川龍之介」(1916)