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隣の広間の床に据(す)えてある置時計が次の刻(とき)を打つまでには、きっと悟って見せる。悟った上で、今夜また入室(にゅうしつ)する。そうして和尚の首と悟りと引替(ひきかえ)にしてやる。
夏目漱石「夢十夜」(1908)
決意
侮辱を受けた直後、絶望的な状況で覚悟を決めるとき
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もう、こんな事が三日も続けば、キット死んでしまう人もいます。――ちょっとでも金のある家ならば、まだ学校に行けて、無邪気に遊んでいれる年頃の私達は、こんなに遠く……
小林多喜二「蟹工船」(1929)
切なさ, 悲しみ, 決意
不公正さに怒りを感じ、声を上げたいとき
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風立ちぬ、いざ生きめやも。
堀辰雄「風立ちぬ」(1938)
決意
困難に立ち向かう覚悟を決めたとき
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私は十五歳で学問に志した。三十歳で自分の精神的立脚点を定めた。四十歳で方向に迷わなくなつた。五十歳で天から授かった使命を悟った。
下村湖人「現代訳論語」(1949)
感銘
自分の成長が実感できず焦っているとき
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理智は吾人に教へて曰く、運命流行の原則は、運命其物のみ之を知る。たゞ運命と人力との關係に至つては我能く之を知ると。
幸田露伴「努力論」(1912)
冷静
運命のせいにしたくなったとき
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人が自分を知ってくれないということは少しも心配なことではない。自分が人を知らないということが心配なのだ。
下村湖人「現代訳論語」(1949)
解放
自分の努力が誰にも認められないと感じるとき
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こう云う風に、幾晩となく母が気を揉んで、夜の目も寝ずに心配していた父は、とくの昔に浪士のために殺されていたのである。
夏目漱石「夢十夜」(1908)
悲しみ
絶望を知りたいとき、無意味な努力について考えるとき
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お前たちの中には母上の血が流れている。母上は決して死んではいない。
有島武郎「小さき者へ」(1918)
希望
大切な人を亡くしたけれど前を向きたいとき
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こんな立派な奥さんがあるのに、どうして大谷さんは、あんなに、ねえ
太宰治「ヴィヨンの妻」(1947)
切なさ、悲しみ
自分の人生の失敗や堕落を突きつけられたとき
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それは私自身に取って忘れがたない貴い記録であると同時に、恐らくは読者諸君に取っても、きっと何かの参考資料となるに違いない。
谷崎潤一郎「痴人の愛」(1924)
決意
自分の人生を記録に残したいと思ったとき
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ああ、暑、暑! どうだった、譲治さん、あたしの踊るのを見ていた?
谷崎潤一郎「痴人の愛」(1924)
喜び
自分の成功を確認したいとき
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暖かな日の色に染まっている蜜柑が 五つ六つ、汽車を見送った弟たちの上へ ばらばらと空から降ってきた。
芥川龍之介「蜜柑」(1919)
希望
何気ない瞬間に心を動かされたとき
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人間を愛し得る人、愛せずにはいられない人、それでいて自分の懐に入ろうとするものを、手をひろげて抱き締める事のできない人、――これが先生であった。
夏目漱石「こころ」(1914)
切なさ、矛盾への驚き
先生という人物の本質を理解したいとき
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蹄の跡はいまだに岩の上に残っている。鶏の鳴く真似をしたものは天探女である。この蹄の痕の岩に刻みつけられている間、天探女は自分の敵である。
夏目漱石「夢十夜」(1908)
悲しみ, 怒り
裏切られた、最後に絶望を感じたいとき
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雲雀の鳴くのは口で鳴くのではない、魂全体が鳴くのだ。
夏目漱石「草枕」(1906)
感動、覚醒
人生の本質的な生き方について考えたいとき
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何アんだ、俺達と同じ人間ではないか、ということが、然し直ぐ分らさった。
小林多喜二「蟹工船」(1929)
発見, 希望, 共感の転換
ロシア人に助けられ、はじめての人間的なふれあいを経験したとき
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戒めは破られた。 しかし丑松の心は 不思議に晴れやかであった。
島崎藤村「破戒」(1906)
解放
重荷を下ろした瞬間
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ただ一つ、私の作った椅子丈けが、今の夢の名残(なご)りの様に、そこに、ポツネンと残って居ります。でも、その椅子は、やがて、いずことも知れぬ、私達のとは全く別な世界へ、運び去られて了うのではありませんか。
江戸川乱歩「人間椅子」(1925)
虚無感、無力感、悲しみ、孤独
自分の努力や創作が無意味に感じられるとき、人生の意味を問い直したいとき
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どっちへ行けば戻れるのか、いっこうに見当がつかなくなっていました。
宮沢賢治「山越え」(1921)
不安, 孤立感
迷ってしまい、先が見えないとき
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或春の日暮です。唐の都洛陽(らくよう)の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでいる、一人の若者がありました。
芥川龍之介「杜子春」(1920)
孤独、虚無
人生に行き詰まって、ぼんやりしてしまうとき
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