自分はかつて此の境に佇立して、 落日の光の穏やかに林を照すのを見て、 かの詩人の詩にはじめて思い当ることがあった。
国木田独歩武蔵野」(1898)
気づき本の中の言葉が現実と重なった瞬間
女の顔にはいつも何一つ表情というものがなく、それは怖ろしいほど美しく、恐ろしい顔でした。
坂口安吾桜の森の満開の下」(1947)
恐怖、魅了美しいものに恐怖を感じるとき
だが、そんなことをやってみるがいい! 彼は写真の上に坐りこんで、渡しはしない。
フランツ・カフカ変身」(0)
決意、抵抗すべてを失い続ける中で、最後に守りたいものが見つかったとき
あいつは、その時とばあいによって、どんな手段でも考えだす知恵を持っているのです。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
恐怖二十面相の正体や能力について深く考察するとき
思い切って床屋へ行った。そのあくる日は日曜である。
夏目漱石三四郎」(1908)
決意、覚悟失恋から立ち直ろうと決めた時に
努力して居る、若くは努力せんとして居る、といふことを忘れて居て、そして我が爲せることがおのづからなる努力であつて欲しい。
幸田露伴努力論」(1912)
憧れ本当に夢中になれるものを探しているとき
背中に小さい小僧がくっついていて、その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照して、寸分の事実も洩(も)らさない鏡のように光っている。
夏目漱石夢十夜」(1908)
恐怖, 絶望, 無力感逃げられない真実と向き合う必要があると感じたとき
犬は唯きび団子が欲しさに、鬼の征伐に加勢したのであった。
芥川龍之介桃太郎」(1924)
皮肉、幻滅仲間だと思っていた人の本当の動機を知ったとき
おまえの音はまるで甘い。 表情というものがまるでないんだ。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
怒り厳しいダメ出しをされたとき
私はこの時始めて、 云いようのない疲労と倦怠とを そうして又不可解な、下等な、 退屈な人生を僅かに忘れる事が出来たのである。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
希望小さなことで救われたとき
私はまさしくただ思惟するもの、言い換えれば、精神、すなわち霊魂、すなわち悟性、すなわち理性である
デカルト省察」(1641)
自己の本質自分とは何かを突き詰めて考えたいとき
辺鄙で不便なのをも心にかけず、俸給も独り身の事であるから沢山は要らないから、赴任したようでした。
小泉節子思い出の記」(1908)
決意, 希望自分の信念のために不便さを受け入れようとするとき
君の絵には学問がなかった。 しかし命があった。
有島武郎生れ出づる悩み」(1918)
感動型にはまらない何かに心を動かされたとき
霧の深いのを、 残念にも思はなかつた。
太宰治富嶽百景」(1939)
安らぎ期待通りにいかなくても満足できたとき
ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
決意自分の感情に流されず、相手を理解したいとき
では、己が引剥をしようと 恨むまいな。 己もそうしなければ、 饑死をする体なのだ。
芥川龍之介羅生門」(1915)
決意開き直るとき
ところが、浅川はお前達をどだい人間だなんて思っていないよ
小林多喜二蟹工船」(1929)
怒り, 絶望, 悔悟監督が危険な状況で漁夫の命を軽視したことを知ったとき
あの時分の、淡い、夢のような月日のことを考え出すと、お伽噺(とぎばなし)の世界にでも住んでいたようで、もう一度ああ云う罪のない二人になって見たいと、今でも私はそう思わずにはいられません。
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
切なさ, 郷愁, 後悔失われた青春を回想するとき
トンネルの中の汽車の窓をあけるなんて、 非常識な。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
怒り他人のマナー違反にイラッとするとき
何という奇妙な私の立場であろう。何という恥かしい……恐ろしい……そうして不可解な運命であろう。
夢野久作ドグラ・マグラ」(1935)
恐怖自分の過去が精神病院の標本室に隠されていると悟ったとき