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女の顔にはいつも何一つ表情というものがなく、それは怖ろしいほど美しく、恐ろしい顔でした。
坂口安吾「桜の森の満開の下」
背景解説
表情がないのに美しい。いや、表情がないからこそ怖い。人間味のない完璧な美しさって、むしろ不気味だよね。安吾はこの「美=恐怖」という方程式を、この女を通して見事に描き出している。
無表情の美女が山賊に命じたこととは?
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彼は女の美しさに関して何の理解もありませんでしたが、ただ彼が感じたのは、これは俺の手に負えぬ怖ろしい何ものかだということでした。
坂口安吾
女は首が関り合いのある人間のものであるかないかということは全く念頭にはないようでした。それは蒐集家の態度にすぎませんでした。
坂口安吾
山賊はふりかえって見ましたが都が見えませんでした。ただ一面に連る桜の花があるだけでした。
坂口安吾
涯しない花の下の涯しい虚空をみたしているものは何だろう。
坂口安吾
彼はもう花の下にねることもその冷めたい花びらが降りかかる下に寝ることも怖ろしいとは思いませんでした。
坂口安吾
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