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個性というのは一回的なもの、繰返さないもののことではないであろうか。
三木清「人生論ノート」(1941)
思索,疑問
自分の存在の唯一性について考えているとき
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その皺だらけに痙攣った横顔を眺めながら、私は煙に捲かれたように茫然となっていた。今朝から私の周囲にゴチャゴチャと起って来る出来事が、何一つとして私に、新らしい不安と、驚きとを与えないものは無い……しかも、それに対する若林博士の説明が又、みるみる大袈裟に、超自然的に拡大して行くばかりで、とても事実とは思えない
夢野久作「ドグラ・マグラ」(1935)
戸惑い、孤立感、現実喪失
自分の身の上に起こったとは思えない事態の説明を聞かされているとき
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我はわが愆(とが)を知る。わが罪は常にわが前にあり
夏目漱石「三四郎」(1908)
悲しみ、後悔、切なさ
自分の運命を受け入れるしかない時に
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その檸檬の色彩は ガチャガチャした色の階調を ひっそりと紡錘形の中へ 吸収してしまって
梶井基次郎「檸檬」(1925)
感嘆
美しいものに心を奪われたとき
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ごんは毎日毎日、栗や松茸(まつたけ)を拾って来ては、兵十の家へ持って来てやりました。
新美南吉「ごんぎつね」(1932)
献身、孤独
誰にも気づかれない努力を続けているとき
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ただあなたとわたしのように、こういっしょにいるところなんで、その場限りで面白味があるでしょう
夏目漱石「草枕」(1906)
切なさ、諦観
人生の意味や関係の本質について問われたとき
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自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。
太宰治「人間失格」(1948)
諦観,疲労
人生の重荷に疲れ果てて老け込んでしまったとき
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最大の不幸は、理論が手腕を超過した時である。
レオナルド・ダ・ヴインチ「レオナルド・ダ・ヴインチの手記」(1914)
実践の重要性
考えすぎて動けなくなっているとき
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罪のアントがわかれば、罪の実体もつかめるような気がするんだけど、……
太宰治「人間失格」(1948)
探求,混乱
人生の根本的な問題について深く考え込むとき
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わしの道にはわしの創意はない。古聖人の道は完全無欠じゃから、ただこれを信じ、ただこれを好み、そしてそのままに世に伝えてさえ行けばいい。
下村湖人「論語物語」(1938)
謙遜,確信
自分の成果を評価されるとき
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われわれに五十年の命をくれたこの美しい地球、この美しい国、この楽しい社会、このわれわれを育ててくれた山、河、これらに私が何も遺さずには死んでしまいたくない、との希望が起ってくる。
内村鑑三「後世への最大遺物」(1897)
感謝,愛郷心,使命感
自分が生まれ育った土地への恩を深く感じるとき
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些細なことが私達を慰める。何故といふに些細なことが私達を悲ませるから。
パスカル「パスカルの言葉」(1943)
共感
小さなことで落ち込んだり元気が出たりするとき
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誰だって身体がおかしくなっていた。イザとなったら「仕方がない」やるさ。「殺されること」はどっち道同じことだ。そんな気が皆にあった。――ただ、もうたまらなかった。
小林多喜二「蟹工船」(1929)
絶望, 諦念, 怒り
限界まで搾取された労働者たちの心情を知りたいとき
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走れ!メロス。
太宰治「走れメロス」(1940)
決意
自分を奮い立たせたいとき
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それは分っても、自分の鼻をまるで物品のように取扱うのが、不愉快に思われたからである。
芥川龍之介「鼻」(1916)
屈辱感、怒り
自分の弱みや劣等感を他者に見られ、対象化されるとき
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前の時間が、そのまま流れているのは、滞っているのである。
中井正一「美学入門」(1941)
驚き,気づき
時間について深く考えるとき
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私は有る、私は存在する、という命題は、私がこれを言表するたびごとに、あるいはこれを精神によって把握するたびごとに、必然的に真である、として立てられねばならぬ。
デカルト「省察」(1641)
確実性の発見
自分の存在に確信が持てないとき
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西洋料理店というのは、西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家(うち)とこういうことなんだ。
宮沢賢治「山越え」(1921)
恐怖
世界の真実に気づいてしまったとき
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遠い外国で便り少い独りぽっちとなって一時は随分困ったろうと思われます。
小泉節子「思い出の記」(1908)
孤独, 切なさ
誰かが不安や孤独を感じているときに
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では、己が引剥をしようと 恨むまいな。 己もそうしなければ、 饑死をする体なのだ。
芥川龍之介「羅生門」(1915)
決意
開き直るとき
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